膝を曲げ、着地の衝撃を軽減した燐慟は、素早く刀を握り直し、腰を低く落とす。


榊流斬刀術 六の型──



「──紅閃花(コウセンカ)」



チン、と刀を収めた燐慟を、きょとんとした表情でガルゼレスが見つめる。

それから恍惚な笑みを浮かべたガルゼレスが、お返しだと言わんばかりに残った左手を燐慟の頭上にすさまじい速さで振り下ろす。


だが、燐慟は動かない

それどころか、刀すら構えない。



直後、その巨大な双眸からは血の涙が溢れ、振り下ろされたはずだった両腕は、肉塊となって燐慟の頭上に降り注いだ。

否、腕だけではない。

ガルゼレスそのものが粒子分解されたかのように、小さな肉塊となり地面に転がった。



「ゴギャ、アァアア…………」



絞り出された声は枯れがれで、それきり動かなくなった。


──血の花が咲いていた



「あーあ、制服が血だらけだ」


ガルゼレスの生肉の臭いも、こびりついてしまったようだ。

なんとも言いがたい腐臭が、つんと鼻をつく。

と、イヤホンにノイズが走る。


『燐慟様、お疲れさまです』

「あぁ、あとは頼む」

『了解しました』


イヤホンを外し、空を仰ぐ。
夕焼けは先ほどとあまり変化はなく、遠い空に血のように染まった雲が、いくつも浮かんでいた。

壮佳
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壮佳

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