「お前に頼みがある」
唐突に切り出した木煉。
「最近、神咲(かんざき)家が不審な動きを見せていることは、知っているな。そこでだ、お前には学園に通ってもらう」
「学園……ですか?」
だいたいの知識は、やはり幼少時から叩き込まれたため、学園にいく必要はない。
疑問が表情に出ていたのか、木煉は続ける。
「リリアラド学園から正式に推薦状が届いた」
──リリアラド学園
国内最大級の軍事学園であり、選ばれた名家の子女たちが集まる名門校。
つまり、エリート学校である。
「今年は、神咲家の子息も入学するらしい。ここまで言えば判るだろう?」
「密偵の命──ですね」
「そうだ。だが、学園から推薦状が来たということは、ヤツらも何か企んでいるに違いない」
リリアラド学園は、神咲家との関わりのある家の子女たちが多く通う。
つまり、神咲家を含めた他の四大名家と敵対している榊家がひとたび足を踏み入れれば、そこはもう戦場と言っても過言ではない。
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