Ⅱ―ⅷ はじめての育児
「ミルクを…?」
ポカンとしているジルにキュリオは頷き答えた。
「ああ、ティーカップにではなく…出来れば小さなボトルのようなものに入れて欲しいんだ…」
キュリオのその言葉を聞いてにわかに周りがざわつき始めた。
この美しい王がボトルにミルクを入れて飲むような趣味がある噂など聞いたことがなく、彼の嗜好は香りのよい茶葉やワインだったはずだ。
「か、かしこまりましたキュリオ様…すぐにご用意いたしましょう」
わずかに動揺したジルだが早々にミルクを鍋であたためはじめ、手頃なボトルを探して戸棚を開け閉めしている。その様子をじっと見つめていたキュリオはミルクが保管してある金属の棚の前までくるとジルと呼ばれる男に向き直った。