触れ合い
感触、というのは面白いもので、人を安心させたり、不安にさせたり、ときめかせたり、怒らせたりする。
それぞれどんな感触を思い浮かべただろうか?人それぞれに様々な感触を思い浮かべるだろう。
俺は、この間初めて、いや初めてではないんだけど、意識した初めての感触が忘れられずにいる。
ただ、覚えているのはその感触だけで、その続きも、それ以前もポッカリと抜けてしまっている。実に残念、実に勿体無い。
ついこの間、俺は彼女の部屋に初めて訪れた。
覚えているのは、コレだけ。
後残っているとすれば、彼女に触れた、生々しい感触だけだった。
「ヤッたの?」
ヤッてない、ヤッてない、俺はまだ童貞…。
「って何勝手に入ってんだてめえ!」
テレビを見ていた妹がソファから身を乗り出してこちらを見ていた。
「だって正直キモいんだもん、何勝手に一人でブツブツ言ってんの?」
「うるせえ、俺は今浸ってんの。わかる?俺の記憶に水ささないでくんない?」
「じゃあいつまでも一人でつぶやいてれば?ドーテーさん」
「てめえだって処女だろうがアァンッ?!」
「あー、ソーダネー、ウンウン」
………、
「おいちょっと待てよなにその反応」
「ところでどこ触ったの?」
「お願い、お願いだから答えて?処女?処女?」
「キモイ」
「あっ(」
察したくない。
「で?どこ?」
「…ふともも」
「え、ふとももだけでそんなんなれんの?童貞力高くない?」
「うっせバーカ。純情と言え」
ダイニングのテーブルに座っていた俺をちょいちょいと手招きする我が不純妹、おにいちゃんは認めない。
取り敢えず招かれたので隣に赴く。ソファに座ると、不純妹は俺のふとももに手を置いてずい、と顔を近付ける。
ギョッとした俺が少し身を引くと、妹は自分の短パンの裾を少し捲って見せた。夏場ながらに白い肌が艶めかしい。
「触ってみる?」
「断固拒否する」
「妹でも女の子だよ?」
「だ、断固拒否する」
「生肌だよ?
「ddddだんこきょひする」
眩しい、ふともも、眩しい。
いやいや、よく考えろ、年端もいかく妹のふとももに触って良いものか、いやよくない(反語
それに俺には彼女がいる。いるのだ。だから妹のふとももである必要などどこにも
「今なら触り放題だよ?」
「さわ…り…ま…すん」
「どっち?」
「ぐ、ぐぬぬぬ…、お前、嫌じゃねえのかよ」
「んー、触られてみないとわかんないなー」
こいつ、何がなんでも触らせる気か…!
だがその手には乗らんぞ、触ったらきっと法外な金をせびられるに違いないのだ。
だが目が離せない。
視線がふとももから動かせない。
なんだこのふとももの魔力は…!
「くっ…!」
欲に逆らえず手が伸びていく。
ふふん、としたり顔の妹。
なんの抵抗も見せず、俺の手は容易く、そのふとももに触れてしまった。
「………」
ぁああぁああああああぁぁぉあああぁあああああぁああぁぁぁぁぁああああぅぁあぉぁああぁぁぁあぁあ………
素晴らしき…この感触。
ハリ。
ツヤ。
弾力。
手を通して感じるその体温。
なんと
「なんと心地良い…!!!」
俺がうわ言のように呟くと、妹はニヤリと笑ってこう言った。
「お兄ちゃんがこのまま童貞だったらいつでも触らせてあげるよ」
俺もう童貞でいいや。