第12話 カイツブリの恩返し
モジャ太郎達が次に向かった所は石田村でした。疲れたモジャ太郎達はお寺でお茶をいただくことになりました。
お寺の子供が最初に持ってきてくれたのは大きめの茶碗一杯に入ったぬるいお茶でした。
モジャ太郎はもう一杯お茶を頼みました。
二杯目はやや小さめの碗にやや熱いお茶が出てきました。
モジャ太郎はもう一杯お茶を頼みました。
三杯目は小ぶりの碗に熱々のお茶が出てきました。
モジャ太郎はもう一杯お茶を頼みました。
そうしたら、
「あとはセルフでお願いします。」
と言われました。
これが後のドリンクバーの発祥と言われているとか、いないとか、それは定かではない…。
そして、このお寺の子供こそ、後の石田三成である。
すると、そこにまた髪の薄い青年が現れました。青年は頼んでもいないのに、この石田三成少年について熱く語り出しました。あまりの熱さについてゆけず、モジャ太郎は話を途中で切り上げて帰ろうとしました。その時、モジャ太郎の背中からひとひらの羽が落ちました。それは余呉湖でついたあのカイツブリの羽でした。そのカイツブリの羽を見て青年はハッとしました。するとどうでしょう、青年の姿は見る見る内に一羽のカイツブリになったのでした。カイツブリはモジャ太郎に
「あなたがモジャ太郎さんですね。父がお世話になりました。私は父から、もし、モジャ太郎さんに出会うことがあったら力になるよう言われています。私を是非貴方の家来にしてください。」
と言いました。
なんと、この青年の正体はモジャ太郎が助けたカイツブリの子供だったのです。モジャ太郎はこのカイツブリを家来にしました。モジャ太郎はこのカイツブリに「キジ」という名前をつけました。カイツブリは自分はカイツブリだからと反対しましたが、キジの方がいろいろ都合がいいからとうまいこと丸め込まれました。これで、モジャ太郎の家来は三人に増えました。とうとう仲間は全員揃い、モジャ太郎の本当の旅が始まるのでした。そして、モジャ太郎達はとうとう長浜の中心街へと向かうのでした。